出版・リリース数の減少や企業再編、新たな流通形
態の展開など、色々と転機を迎えつつあるとされる、
アメリカのアニメ・マンガ市場ですが、それを支えるフ
ァンの数は、昨年2008年では、増えたんでしょうか
減ったんでしょうか。
アメリカ全体が厳しい経済状況にある中、アニメ・マ
ンガ市場の成績についても、あまり良い話は伝わっ
てこなかった2008年ですけど、市場の動向とは関係
なく、増え続けているとされてきたファンの数にも、影
響は出ているんでしょうか。
アメリカ全体での数というと、調べようもありませんか
ら、今回は例によって、アメリカで開催されたアニメ
コンベンションの参加者数を基に、その変化を探って
みたいと思います。会場にまで足を運び、お金を払っ
て入場するような人は、アニメ・マンガファンだと規定
していいでしょうから。
いつもお世話になっている、アニメコンベンション情報
専門サイトAnimeCons.com掲載の、各コンベンショ
ン情報から、参加者数あるいは有料入場者が発表さ
れているコンベンションの、2007年と2008年の数字
を比較して並べてみます。
わかりやすいように、数が2007年より増えているコン
ベンションは黒字、減っているコンベンションは赤字
での記載にしておきますね。さて?
・Anime Los Angeles
(カリフォルニア州バーバンク 1月4〜6日)
2007年・1773人 → 2008年・2509人に増加
・Ikkicon
(テキサス州オースティン 2月8〜10日)
2007年・約2000人 → 2008年・約3500人に増加
・Naka-Kon
(ミズーリ州カンサスシティ 2月8〜10日)
2007年・1529人 → 2008年・2091人に増加
・Katsucon
(ワシントンD.C. 2月15〜17日)
2007年・約6200人 → 2008年・約6300人に増加
・MomoCon
(ジョージア州アトランタ 3月15〜16日)
2007年・2600人 → 2008年・4600人に増加
・Anime Boston
(マサチューセッツ州ボストン 3月21〜23日)
2007年・10559人 → 2008年・13248人に増加
・Anime St. Louis
(ミズーリ州セントルイス 3月28〜30日)
2007年・1006人 → 2008年・1434人に増加
・Animarathon
(オハイオ州ボーリング・グリーン 3月29日)
2006年・670人 → 2008年・972人に増加
・Anime Detour
(ミネソタ州ブルーミントン 4月4〜6日)
2007年・3000人 → 2008年・3000人と変わらず
・Anime Punch!
(オハイオ州コロンバス 4月11〜13日)
2007年・1299人 → 2008年・1337人に増加
・Kawaii Kon
(ハワイ州ホノルル 4月18〜20日)
2007年・2925人 → 2008年・3495人に増加
・No Brand Con
(ウィスコンシン州オークレア 4月18〜20日)
2007年・905人 → 2008年・1075人に増加
・Shinboku Con
(オハイオ州エリリア 4月20日)
2007年・193人 → 2008年・467人に増加
・Middle Tennessee Anime Convention
(テネシー州ナッシュビル 4月25〜27日)
2007年・約3000人 → 2008年・約3500人に増加
・Anime Central
(イリノイ州ロズモント 5月16〜18日)
2007年・10987人 → 2008年・約13900人に増加
・Animazement
(ノースキャロライナ州ダーハム 5月23〜25日)
2007年・約4500人 → 2008年・5374人に増加
・Anime Expo
(カリフォルニア州ロサンゼルス 7月3〜6日)
2007年・41671人 → 2008年・約43000人に増加
・PortConMaine
(メイン州ポートランド 7月3〜6日)
2007年・1663人 → 2008年・1650人に減少
・Otakon
(メリーランド州ボルチモア 8月8〜10日)
2007年・22852人 → 2008年・26324人に増加
・Anime Weekend Atlanta
(ジョージア州アトランタ 9月19〜21日)
2007年・9825人 → 2008年・11101人に増加
・MikomiCon
(カリフォルニア州ノースリッジ 9月19〜21日)
2006年・652人 → 2008年・904人に増加
・Tsubasacon
(ウェストバージニア州ハンティントン 9月26〜28日)
2007年・652人 → 2008年・750人に増加
・Zenkaikon
(ペンシルバニア州キングオブプロシア 10月17〜18日)
2007年・570人 → 2008年・1352人に増加
・Another Anime Convention
(ニューハンプシャー州ナシュア 10月17〜19日)
2007年・864人 → 2008年・981人に増加
・Nekocon
(バージニア州ハンプトン 11月7〜9日)
2007年・3249人 → 2008年・3640人に増加
という結果です。あんまり色分けする意味はありませ
んでしたね(笑)。
全てのコンベンションのデータが揃っているわけでは
ないので、完璧なものではありませんが、開催時期・
場所・規模を問わずに、データのあるほとんどのアニ
メコンベンションで、参加者がさらに前年から増えて
いるのがわかります。
数が減ってしまったコンベンションが、差障りがある
として数字を公表しない可能性を捨てると、これだけ
の偏りがあれば、やはり2008年も全米規模で、アニ
メ・マンガファンの数は増大の傾向を続けていた、と
想像していいでしょう。不景気にもかかわらず、と言
うと喜ばしい話です。
そうなるといつもの、「ファンは増えているのに、ア
ニメDVDのセールスが落ち込み続けているのは何
故」という議論にもなってしまうわけですが……。
前向きに考えると、こうやって増え続けている、アニ
メコンベンション参加者に対象を絞ったビジネスの
展開を考えた方がいいかもしれませんね。とにかくも、
お金を払って参加してくれているわけですから。
例えば、コンベンションでしか買えない限定アイテム
をどんどん出すとか?
参加者の大半を占めるコスプレを有料登録制にして、
登録料をコスプレしている作品の権利者・クリエイタ
ーに還元させる、というのも考えましたが、コスプレイ
ヤーさん達からの反発は確実でしょうね。
北米で未ライセンスの作品の場合はどうなる、という
問題も発生してしまいますし。
コンベンションでの盛り上がりが、それぞれの市場に
つながって、ちゃんと作品の作り手さん達のところに
まで、利益として返ってくるシステムというのは、どう
構築すればいいんでしょうね……。