お馴染みフロリダ発のポッドキャストAnime World
Orderがボーナス・エピソードとして、2008年9月19
〜21日にジョージア州アトランタで開催されたアニメ
コンベンションAnime Weekend Atlanta(公式サ
イト)のレポートを伝えてくれていて、実はまだ途中まで
しか聞いていないんですが、ちょっと切ない話が1つ
ありました。
うちからもリンクしている、アクションやSFなど、いわゆ
るジャンル系の作品について語るポッドキャスト
The Greatest Movie EVER!のPaul Chapmanさ
んが土曜日の午後に、邦画「ガンヘッド」(89年 監督・
原田眞人)についてのパネルを主催したそうなんですね。
したんですが……、始まる時間になっても、集まってくれ
た観客はたった1人だけだったとか(涙)。
後には、AWOメンバーのGeraldさんなんかも顔を覗か
せてはくれたようですけど、最初は1人だけだった、その
お客さんも辛かったと思います。「お、俺だけ……!?」み
たいな。
同じ時間に、他の場所で人気のあるパネルやイベント
が重なったりということもあったようですが、それこそ、
アニメ「装鬼兵MDガイスト」のように、「アメリカでは日
本をはるかに上回るカルト的人気作」のカテゴリーには
入れられないみたいで残念です。
アメリカでは、日本よりずっと早くDVD化されてもいまし
たし、実は密かにファンの多い作品かもとちょっと期待
していたんですが。
そのパネルで、Paul Chapmanさんが結局どういうこと
を語ったのかはわからないんですが、他ならぬ自身のポッ
ドキャストで、「ガンヘッド」について熱く語っているのが、
2007年4月4日エピソードで聞けます(アーカイブをずっと
下って、MP3ファイルをダウンロード)。
ゲストは70〜80年代日本アニメのエキスパート、Steve
HarrisonさんとTim Eldredさん。
Steve Harrisonさんは特に70年代から「宇宙戦艦ヤマト」
のファンジンで活躍しており(詳しくは、相互リンクしている
Dave MerrillさんのLET'S ANIME 2008年3月22日付け
記事を参考に)、Tim Eldredさんについては、Anime World
Orderにゲスト出演した回(第14回・2006年4月4日付け
エピソード)が参考になるでしょう。
基本的に3人とも、「ガンヘッド」大好きです。
日本とアメリカでの、一般観客間での不評は承知しつつ
も、熱く作品の魅力を語ってくれています。
特にTimさんが評価していたのが撮影ですね。
ガンヘッドの6メートルの実物大プロップが効果的に用い
られ、CGがまだ今ほど多用(濫用)されていない時代に、
生身の人間が変形ロボットに乗り込んで戦うという雰囲気
が、見事に伝わっていると。実物大のプロップが目の前に
あって触れられるからこそ、俳優さんもただ合成用のブル
ー・スクリーンで演じるよりは、もっと説得力のある演技が
出来ただろうという想像ですね。
Chapmanさんも同意しながら、そういう雰囲気の構築を
重視する語り口が、アメリカでは評価されない理由のひ
とつだと語ります。アメリカでは雰囲気やディテールより、
もっとアクションのテンポが重視されると。
設定からすると、アメリカの観客はそれこそマイケル・ベ
イ監督作品のように、アクションと爆発のつるべ打ちを
期待してしまうが、「ガンヘッド」はそういう種類の語り口
ではなかったという説明です。
他に高く評価されているのは、これは日本でも同じで
しょうけど、本多俊之さんによる劇伴音楽ですね。
あと、ブルックリンとガンヘッドとのバディ・ムービーとし
ての雰囲気や、アメリカ人だからこそ理解出来るMLB
からの引用なども、評価の理由になっています。
あ、ブレンダ・バーキ演じるところの、レンジャーの生き
残りニムも、「彼女のキャリアでベスト」と言われるくらい
お気に入りのようですね。
たくさんの愛すべきツッコミと共に(笑)、ともかく3人の、
「ガンヘッド」に対する熱い思い入れが伝わってくる内容
で、このポッドキャストを聞いたら、知らない人も結構映
画を見たくなると思います。