2008年12月08日

英語版「BACCANO! -バッカーノ!-」ADRディレクター・Tyler Walker氏インタビュー


先にメッセージへのお返事を。
ともあれお気遣いありがとうございました♪
またなにかお気づきになりましたら、いつでもよろ
しくお願いします。ぺこり。


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さて本題。
お馴染みオンラインストアRight Stufが隔週で配
信しているポッドキャストAnime Today最新エピソ
ード第81回
(12月5日配信)での、業界人ゲストは、
FUNimation作品でADRディレクターを務めている
Tyler Walker氏で、今回は自身が関わった最新作
「BACCANO! -バッカーノ!-」(日本公式サイト)につ
いて、がお題でした。
残念ながら僕は未見の作品なので、詳しい方なら、
もっと面白く聴けたかもしれませんね。


インタビューのPART1(8分10秒〜24分50秒)は、
「BACCANO!」の作品解説と、英語版吹替トラックの
ためのキャスティングについて、でした。
「このキャラクターはこういうキャラだから、この声優
を選んだ」という説明についてはよくわからないので
すが、キャラクターのとても多い作品ということもあっ
て、まずキャスティングの時点から、色々大変だった
ようですね。
オーディションには6日間を費やし(通常は2日ぐらい
だと思います)、18のメイン・キャストのために、受けて
もらった声優さんの数は、135〜140人に達したとか。
Walker氏が関わった作品の中でも、キャストを選ぶプ
ロセスに最も時間がかかったものになったようです。
また、禁酒法時代のアメリカの、シカゴからニューヨー
クを舞台にした作品ということで、その当時の訛りが演
技出来ることも条件になったそうですね。


short_g.gif


PART2(48分06秒〜57分20秒)は、実際の吹替トラッ
ク制作における苦労について。
作中でキャラクター達が喋っている言語が、間違いなく
英語である作品というと、「RED GARDEN」や「BLACK
LAGOON」が思い浮かぶんですが、この「BACCANO!」
が特殊なのは、1930年代のギャングスター映画・小説と
いった、アメリカで既に確立されている、ひとつのフィクシ
ョン・ジャンルと重なる作品だ、ということですね。
つまり、アメリカの観客側には、「禁酒法時代のギャング
物語」はこういうものだ、というジャンル・イメージが既に
構築されているので、それから外れ過ぎないように、英
語吹替を制作しなくてはならなかった、という話です。
逆に言うと、その辺のお約束や雰囲気をちゃんとふまえ
ていれば、アメリカでも理解されるだろう、受けるだろう、
という判断ですね。
とはいえもちろんアニメですし、当時のアメリカにはなか
った(筈の)錬金術といったファンタジー要素も含まれて
いますから、その辺のバランスを取るのが、とても難しか
ったようです。


英語吹替制作の参考として、Walker氏がまず観てみた
作品は、日本の脚本家も参考にしたと伝え聞いた、映画
「アンタッチャブル」(87年 ブライアン・デ・パルマ監督)。
特に、ロバート・デ・ニーロ演じるところのアル・カポネの
演技に注目したとか。
続いて、作品と同じ時代に作られたことで、その時代の
雰囲気や話し方がわかるだろうと、ジェームズ・キャグニ
ー主演「民衆の敵」(31年)、エドワード・G・ロビンソン主演
「犯罪王リコ」(31年)を、名作ということで「ワンス・アポン
・ア・タイム・イン・アメリカ」(84年 セルジオ・レオーネ監
督)、「ミラーズ・クロッシング」(90年 ジョエル・コーエン監
督)なども観たそうです。
また、ライターさんがレイモンド・チャンドラーの大ファンと
いうこともあって、30年代を舞台にしたその小説からも、
表現を多く引用したとのことです。


台詞についても、例えば当時の俗語表現である、若い女
性を「twist」と呼ぶ台詞などを取り入れたりもしたそうな
んですね。
日本の時代劇などでも、画面を観なくても、「ああ、これは
時代劇だな」とわかる表現・台詞回しがあるじゃないです
か。それが本当に、江戸時代なら江戸時代に使われてい
た話し言葉かどうかは別にしても、「こういうのが時代劇
台詞」というコンセンサスは、日本の観客の間にはありま
すよね。
それと同じように、「BACCANO!」でも、過去のフィクション
作品を参考に、アメリカの観客の間にある、「禁酒法時代
のギャング物語はこういうもの」という共通認識を、英語台
詞表現・演技によって付け加えていったという作業過程が、
とても興味深いです。その部分は、日本語台詞のオリジナ
ル版では、表現出来ないことですから。
日本側の制作意図とはまた違うアプローチで、アメリカ側
ではアメリカ側なりに、「BACCANO!」をアメリカを舞台に
した物語として、よりアメリカの観客に伝わりやすく、(矛盾
した表現ですが)フィクションとしてリアルに描くという英語
吹替制作作業は、話を聞くだけで面白かったです。


posted by mikikazu at 12:23 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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