Publishers Weeklyの11月25日付け記事、
"Broccoli Books Folds; Publishers Struggle
in Tough Economy"
は、先日発表されたブロッコリー・インターナショ
ナルUSAの解散(参考・アニメ!アニメ! 11月20
日付け記事)を枕にして、厳しい景気状況下での、
北米マンガ市場の動向を見据えるものでした。
5人の正社員、その他多くのパートタイム従業員
やフリーランサー達が職を失うことになる、ブロッ
コリーUSAの今後については、出版が中止される
作品の行方なども含めて、公式ブログが質問に答
える形で、丁寧にフォローをしてくれています。
もう必要のないプロモーション用のグッズ(シールや
キーチェーンなど)は、全米各地の図書館に寄付を
始めたようですね。
北米でも、いよいよ最大のかき入れ時であるホリデ
イシーズンに突入したようですが、記事が伝える、
マンガ出版社における最大の懸念は、マンガにとっ
て大きな売り場である、一般書店チェーンの不調に
なるようです。
というのもここのところ、北米の書店チェーンである
ボーダーズやバーンズ・アンド・ノーブルの経営危機
が大きく伝えられているからですね。
日本語の最新記事だと、
「ボーダーズ、8-10月期は赤字拡大」
「米バーンズ・アンド・ノーブルの8―10月期、
1800万ドルの赤字」
(共にNIKKEI NET)
というものがあって、厳しい状況のようです。
英語記事になりますが、ICv2の11月3日付け記事、
"Bookstores Feel the Pain
Graphic Novels Cut 30-60%"
でも、両チェーンが11〜12月期におけるグラフィッ
クノベルの仕入れを30〜60%カットする、という話も
出ているようです。
そういう中での売り場の見直しや在庫の削減によって、
マンガにも影響が出るのでは、ということですね。
Publishers Weeklyの記事としては、"cautious
optimism"(慎重な楽観論)という表現を用いて、そ
れほどの問題にはならないのでは、という各関係者
の予測を伝えています。
多少の影響はあるにしても、売れるものは売れるだ
ろうと、VIZ Mediaなんかは自信があるようです。
また、一般書店に流通を最初から頼っていない、記事
にも出ているSimon Jonesさんの成人向けマンガ専
門出版社Icarus Comicsなどにとっても、あまり関係
ない話ということです。
ただ、今年に入ってリストラ・経営再建があった、
TOKYOPOPやDigital Manga Publishingなどか
らの意見があれば、また違った論調になったかもしれ
ない、とは思いますけど、どうでしょう。
それに、仕入れする作品がより大手の売れ筋マンガに
かたよるようになり、中小出版社やマニアックな作家の
作品が置かれにくくなる、ということもさらに起きるだろ
うとは想像します。
アメリカ大統領選でも最大の争点であったアメリカの
経済不況については、日本からだと、一般消費者視
点からどう感じているのかは、個人的にはよくわかり
ません。
子供やマニアというものは、景気に関係なく、自分の
欲しい物を買うものだと言われれば、そうかもしれま
せんし……。
とりあえず各出版社は、このホリデイシーズンの結果
を戦々恐々として見守っている、という感じでしょうか。
まあVIZ Mediaにすれば、このホリデイシーズンは、
北米のマンガファンには出来るだけ他社マンガへの
出費を控えてもらって、年明けの2月から始まる「NARUTO」
の連続リリース(3ヵ月で11冊)の方でお金を使って欲しい、
というのが本音かな、とも思いますけど。