2008年10月28日

エリカさんからの御本への感想


とりあえず、書けそうなことからですね。
以前に紹介した、アメリカ・ニュージャージー州の
百合普及団体Yuricon(公式サイト)代表の、エリ
カ・フリードマンさんから送っていただいた、お薦
め百合作品については、全て読了していますので、
その感想なんかを少しだけ。


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・「花やしきの住人たち」第1巻
  (桂明日香 角川書店)

第1巻は、女子寮に男子1人だけで暮らすことにな
った主人公桜安芸君を中心にしたドタバタ・コメディ
という感じのお話で、変に萌えハーレムになったり
もせず、素直に楽しめました。
だから、エリカさんに送っていただいたのは第1巻
だけだったので、自分で、既に出版済の第2巻を購
入して読んでみたわけです。
――で、作品を知っている方はご存知の通りの欝展
開だったので、がっつんとやられました。しばらくは頭
がフラフラしました。


ひと言でいうと、もったいないですね。
第1巻のコメディ路線で十分に面白かったのに、わざ
わざキャラクターを壊す、つまらないシリアス展開にす
る必要はなかったと思います。
個人的には、心の病気を軽々しく必要以上に、悲劇と
か不幸とかの材料にすることには反対です。
心の病気は身体の病気と同じく、適切な治療と投薬で
治療可能なものだと思うのですけれど、フィクションの世
界ではことさらに、かかってしまうことはどうしようもない
悲劇なんだ不幸なんだと誇張して描く例を多く見かけて、
現実での、心の病気に対する偏見を助長しているかもし
れない、と感じたりもします。
この作品も、不幸の犠牲者としての、キャラの壊れた心
ばかりが強調されていて、好みではありません。


・「カプレカ」第1巻
  (作・松本真/画・ネツマイカ ジャイブ)

組織による改造手術を受けた2人の少女が、借金の返
済のために、合体して無敵の超人「カプレカ」として戦う
仕事を結果引き受ける羽目になる――というお話。
語り口やアクション描写に特に新味はないので、頼る者
はこの世に相手同士しかいない、主人公カップルである
羽乃さんと優奈さんの、ラブラブっぷりを堪能すればいい
作品でしょうか。
変身するにはキスしなくてはならないという設定は、アニ
メだと過剰に描かれてしまうでしょうから、マンガでちょう
どいいのかも。


・「アオイシロ−花影抄−」第1巻
  (作・麓川智之/画・片瀬優 ジャイブ)

基本的には、ゲームのストーリーそのままなので、特に
コメントはないですね。
もうひとつのコミック版「アオイシロ−青い白の円舞曲−」
が、本筋から離れて、百子さんと保美さんを中心とした独
自の世界を自由に描けていたのとは対照的で、まあ、立
場上仕方ないでしょうか。


・「GIRLS×GIRLS×BOY 乙女の祈り」
  (KUJIRA 双葉社)

レズビアンの女の子と、彼女から愛されている女の子と、
レズビアンの子を好きな男の子の三角関係のお話、とい
う触れ込みでしたが、実際にはそこまでドロドロにはなら
ずに、三角関係を作ろうとするも至らないという、結果的
には軽いお話でした。高校生くらいのキャラなら、これく
らいが本来妥当でしょうね。
むしろ売る側が、「ありえない三角関係」を強調し過ぎて
ミスリードさせている感も。


・「アプローズ−喝采−」第5&6巻
  (有吉京子 秋田書店)

全6巻の完結編部分のみ、ということなので、それまでの
キャラが積み重ねてきた関係の歴史を知らないわけです
から、物語を正しく理解出来たとは思いません。
ただ最終的に主役の2人の女性、沙羅とシュナックが結ば
れるかどうかというまでの、愛の困難の過程をみると、「手
間がかかって大変だなあ」という、いささか凡庸な反応をし
てしまったり(笑)。
作品としてとても高級というか、質の高いことをやっている
のはわかりますけど、饒舌と冗長の危うい境目にあると感
じるのは、やはりきちんと物語を最初から味わっていない
がゆえの誤読でしょう。
機会があれば、最初から読んでみたいです。


・「百合螺旋」
  (三国ハヂメ 笠倉出版」

これだけは成人向けの内容で(成人コミック指定されては
いませんが)、女の子同士の、そういうシーンが主体のお話
ばかりですね。
商業誌未発表作品集ということで、クオリティという面では
それなり、以上のものではありませんが、同人誌よりはず
っと安くまとめて読める、という点ではお得なのかも。
いわゆる「ふたなり」が登場するお話もあるので、個人的
には、百合作品としては評価対象外です。



・「R.O.D」第6巻(小説)
  (倉田英之 集英社)

僕が知っている「R.O.D」は、確か三姉妹のお話だったと
思うんですけれど(AT-Xでちらりと見ました)、これはまた
別の、というかオリジナルの「R.O.D」なんですね。
小説としての出来は、特に個性もない文章による平坦な
仕上がり、と評するしかありません。
ノベライズなのだからそれも仕方ないかな、と思っていま
したら、一応これが原作になるんですね。むむ。
この第6巻だけを送ってきたのは――、表紙でもフィーチ
ャーされている、読子・リードマンさんと、ナンシー幕張さ
んの関係が百合的、ということなのかもしれませんが、本
文内では出会ってわずか半日分の進展しかないので、よ
くわかりません。今後発展するので、ここを起点として読
み進めなさい、ということかもしれません。


・「春夏秋冬」初回限定版特典ドラマCD
 「愛情表現/オンナオオカミ」
  (原作コミックは、作・影木栄貴/画・蔵王大志
  一迅社)
・「春夏秋冬」ドラマCD「逆襲の赤ズキンチャン」


どちらも、同題のコミックをベースにした、音声ドラマで
すね。
能登麻美子さん・川澄綾子さん・田村ゆかりさん・川上
とも子さんといった、僕程度でも知っている人気声優さ
ん達が集って百合な世界を演じてくれるのは、豪華だろ
うと思います。田村さんとかはっちゃけ過ぎですし(笑)。
だからというわけでもありますが、面白かったのは本編
よりも、「逆襲の赤ズキンチャン」収録の、声優さんの生
の声によるトーク・コーナーだったり。
なんていうか、演じている方に照れられると、こちらも思
いっきり照れちゃいますね。みなさん百合作品は初めて
という方ばかりで、初体験ゆえの反応というか感想が、
それぞれ楽しめます。女子校経験者でも、百合的な体験
や記憶に違いがあって面白いですね。


posted by mikikazu at 11:40 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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