2008年10月01日

AWOインタビュー・北米のアニメファンダム黎明期(70年代末〜80年代初期)について


個人的にも、当事者から直接聞きたかった種類の
テーマだったので、聞けて嬉しかったです。
お馴染みフロリダ発のポッドキャストAnime World
Order
が9月30日付けで配信開始した新ボーナス・
エピソードの内容は、本年度のOtakon会場で収録
した、82年創設のアニメクラブ、Philadelphia Animation
Societyのメンバー達へのインタビューでした。
インタビューの主なテーマは、民生用ビデオデッキの
発売もあり、北米地域で日本アニメのファン活動が生
まれ始めた、70年代末から80年代初期において、北
米のアニメファンがどうやってアニメを知り、そしてその
普及に努めたのかという、当時を直接体験した人達か
らの証言を得ることですね。
写真を見ればわかるとおり、みなさんそれなりのお年
になっています。インタビューから想像出来ることでは、
当時は大学生くらいの年齢だったようで、最初のアニ
メ体験として、「鉄腕アトム」「マッハGOGOGO」「鉄人
28号」「8マン」などのテレビ放送を、子供の頃に見た
世代ですね。


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ネットもアニメコンベンションも、ついでにファンサブも
ない時代に、どうやって日本アニメに関する情報を集
めたかという努力は、やはり興味深いです。
1977年5月にはロサンゼルスで、アメリカ初のアニメク
ラブであるC/FO-The Cartoon Fantasy Organization
(公式サイト)の会合が開かれていましたから、そこか
ら情報を得る他に、各地に出来始めた日本書籍専門
店で、輸入される日本からのアニメ雑誌を探したりも
したとか。きっとすごく高かったでしょうけど。
他の情報交換の場としては、まずコミックやSFのコンベ
ンションで、登場し始めたアニメの上映イベントがあり、
そこで新たなアニメに触れたり、逆に自分が保有してい
るテープを上映して、他の人達に教えたりしたそうです。
さらに、図書館に通って過去の雑誌や新聞から、アニメ
に関する記事を探したりとか(コンピュータ検索なんて出
来ませんから、全て気が遠くなるような手作業ですよね)、
親戚がたまたまTVガイド誌のバックナンバーを揃えて
いたので、そこから過去にアメリカで放送された作品に
ついてのデータをチェックしたりとか。


雑誌といえば、みなさんが口にするのが、「アニメージュ」
とかの雑誌名じゃなくて、徳間書店から発行されていた
ムックの「ロマンアルバム」なんですね。
何故ロマンアルバムだったかというと、これは僕の想像
ですけれど、日本語が読めないとわからない記事が多い
雑誌とは違って、設定資料などの、見てわかるビジュアル
資料が多く掲載されていたロマンアルバムの方が重宝さ
れたんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
また、悪い人とはいつの時代にもいるもので、コンベン
ションでは、雑誌から切り分けたシールや付録のポスタ
ーをさらに別売りしたり(本誌を買った人は、2重に払わ
なくてはいけないわけです)、ロマンアルバムから複写し
たコピーを売ったりしている人もいたとか。それだけ、な
んでも情報が貴重だった時代だったのでしょうけれど。


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C/FOの創設者の1人であるフレッド・パッテンさんの
著書「Watching Anime,Reading Manga」
よると、アメリカで最初に作られたAMV(アニメ・ミュー
ジック・ビデオ)は、「Star Blazers」こと「宇宙戦艦ヤ
マト」の戦闘シーンに、ビートルズの「All You Need
Is Love」を重ねた82年のクリップである、と書かれて
いましたが(P30)、そのAMVの作者こそが、今回のイ
ンタビューイの1人であるJames Kaposztasさんで、
AWOのGeraldさんからの質問によって、そのアメリカ
初のAMVについても、詳しく語ってくれていました。


そもそも、ビートルズの「All You Need Is Love」
を使おうと思ったのは、当時地元のテレビ局で再放
送されていた、イギリス製のテレビドラマ「プリズナー
No.6 The Prisoner」(Wikipedia)が、インスパイ
アの元だそうなんですね。
同作品の最終回「FALL OUT」のクライマックス・シ
ーンでは、「All You Need Is Love」が効果的に使
われていて、これを「ヤマト」の、乗組員達が次々に死
んでいくシーンに重ねたらどうなるだろうと、半ばジョー
クとして考えついたんだそうです。
反応は上々で、Kaposztasさんは次々にAMVの新作
を発表していくことになり、ついには会場で、「あのビデ
オを作ったのは君か? その技術をプロとして生かし
てみないか」とスカウトされ、ビデオ・テレビ業界に関わ
るようになったとか。


このような、北米アニメファンダム黎明期の興味深い
話がたくさん聞けますので、とてもお薦めのエピソード
です。
AWOのDarylさんは謙遜していますけれど、録音状態
は良好で、1人を除けばみなさんの英語も、とても聞き
取りやすいレベルだと思います。


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そういった、ファンダムの歴史とは関係ないのです
が、微笑ましいエピソードがありましたので、ひとつ
紹介しておきます。
インタビューイの1人であるSydneyさんの、小さい甥
御さんは、「パワーレンジャー」の大ファンだったそう
なんですね。
で、Sydneyさんは「パワーレンジャー」には基になっ
た日本の「戦隊シリーズ」というものがあって、それが
本物なんだ、と教えようとしたそうなんです。アメリカ
版とは違ってオリジナルの日本版では、レンジャーが
死んだりすることもあると。
そしたら甥御さんは「何バカなことを言ってるの、Sydney
叔父さん。レンジャーが死んだりするわけないじゃな
い!」と、可愛く反論してきたそうなんですね。
だったら真実を教えてやろうと、実際に本編内でヒー
ローが死んでしまう作品のエピソード(ネタバレになる
のでタイトルは言えませんが、トレンディなアレです)
を見せてあげたのです。
そうしたら、ショックのあまり甥御さんは、「そ、そんな
の嘘だ……。レンジャーが死んじゃうなんて有り得な
いよ……」と、泣き出してしまったそうなんですね。
あ、もちろん甥御さんのお母さんには、「うちの子に何
を見せてるの!!」と、こっぴどく叱られてしまったみたい
ですけど(笑)。
……トラウマにならなきゃいいですね、甥御さん。







posted by mikikazu at 08:21 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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