あは、お馴染みエリカ・フリードマンさんが、「Otoboku」
こと、 アニメ版「乙女はお姉さまに恋してる」をけちょん
けちょんに言ってますね(笑)。
僕はアニメ版を成功作として評価していますが、それは
「ゲームのアニメ化としては成功」という意味が強くて、
アニメ版を単体の作品として見た時に評価出来るかど
うかは、正直全然わかりません。エリカさんの批判意見
も、それはそれで理解出来ますし。
知人である翻訳者さんに対してのねぎらいの言葉で、
「(この作品を翻訳するのは)自分で目にフォークを突き
刺すくらい辛かったろうね」という表現は面白かったです
けど。そこまで言いますかって(笑)。
向こうではMedia Blastersからリリースされているこの
作品、オンラインストアなどでのランキングを見る限りは、
そこそこ売れているみたいです。
というわけで本題。
10年前の作品をレビューすることに、どれだけ意義が
あるのかよくわかりませんが、とりあえずレビュー行為
自体は面白いので続ける、「プリンセスナイン 如月女子
高野球部」は、第4話「よろしくね、聖良さん」と、第5話
「荒波スイングと、対決!」を見てみました。
それぞれ、如月女子高野球部のための選手をスカウト
してくるお話でしたが、「七人の侍」以来伝統の、定番プ
ロットとして、それなりにまとまっていました。
「七人の侍」にも出典はあるんでしょうけど、一般的な
エンターテインメント作品における共通認識のルーツは、
やはり「七人の侍」だと思いますし。「疾風!アイアンリ
ーガー」の序盤なんかも引き合いに出していいでしょう。
第5話から登場の堀田小春さんは、高知県の女の子と
いうことでしたが、見始めてしばらくは、「どこの高知県
なんだろう?」と考えてしまったりもしました(笑)。
彼女の一人称は「うち」で、一応僕は高知県の出身なん
ですけど、高知出身の女の子が「うち」を使うことは、ま
ずないと思います。
中学生の時、大阪からの転校生の女の子が、ほんとに
「うち」を使ってるのを聞いて、クラスのみんなで「おおー」
と思ったくらいですし。
一般論は関係なく、小春さんはそう自分を呼ぶ子なんだ、
でも勿論構いませんけど。
ここまでのお話を見て、作り手によるミスリードの可能性
に気づきました。
それはつまり、「女子による硬式野球部が、甲子園大会
に参加出来るのか?」というドラマ上の障害に思えたもの
が、実はそうではないのかもしれない、ということです。
女子は高校野球への参加が認められていないことで、例
え硬式野球部を設立しても、甲子園で開催される全国大
会には、予選から既に出場出来ない、というのが現実側
のリアリティで、それをフィクション側からどう乗り越えて
いくのかが、フィクションとしての見所であると、以前にも
述べました。
でも例えば、第2話での理事会シーンで、理事長の氷室
桂子さんは甲子園の映像を示し「究極の目標はここです」
と言ったり、「この甲子園に代表として出場し」と発言はし
ていますが、決して「甲子園」以上の具体的な名称は、他
のシーンも含めて用いないことから、彼女の言う「甲子園」
が、実は高校野球の大会である、「選抜高等学校野球大
会」なり「全国高等学校野球選手権大会」なりを指していな
くてもいいのでは、と思ったんですね。
「女子は高校野球(甲子園)に出れない」と言っているのは、
校長や教頭、それに娘のいずみさんといった周囲の人間
だけで、理事長からの発言ではない。
もし、理事長の目指している「甲子園」が、彼らたちの考え
ている高校野球大会としての「甲子園」でないとしたら、
「女子は出場出来ない」という指摘もまた、あてはまらない
ことになります。
第4話で、高校野球協会が、如月女子高からの参加希望
を却下した、つまり如月女子高側からも一応参加希望を伝
えたことが語られていますが、「予想通り」という理事長の
反応を見ると、却下されることを承知で、「却下された」と
いう既成事実をまず作っておきたかったのでは、とも考ら
れます。
だから想像したのは、女子の参加を認めていない、現存の
高校野球大会に出場出来ないのであれば、女子が参加出
来る別の大会を甲子園で開催して、それに出場すればいい
のでは、ということなんですね。
現実では実際に、全国高等学校女子硬式野球連盟による、
全国高等学校女子硬式野球選手権大会というものが存在
するのですから、そういうものを、フィクションとして膨らませ
て、甲子園で開催すればいいわけです。
日程なんかの調整は大変でしょうし、最大の問題は、その
場合如月高校以外にも、女子野球部を持つ高校が複数必
要になってくることですけど、無理に女子部が、男子だけの
高校野球大会に参加して戦うよりは、実現性のハードルは
低いと思います。
こういうことを考えてしまったのは、登場してくる新キャラの
誰もが、男子に対する劣等感や対抗意識を持っていないか
らなんですね。作劇の雰囲気として、「いかに女子が男子に
勝つか」みたいなものに全然なっていない。
よくオープニングを見れば、部員達が戦っている相手はま
ったく映し出されていませんし、先の展開を読まれるのを
防いでいる処置という可能性もあります。
おそらく、チームとしての目的意識を明確にしなくてはいけ
ない、部員が全員揃う辺りで、その辺の事情がはっきりす
ると想像していますので、さらに視聴を進めます。
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