2008年08月29日

アメリカのアニメコンベンションでの、海賊版商品の状況について


これもお馴染み、ニューヨーク州ビーコン発のポッ
ドキャストGeekNightsによる、Otakonレポートの
(2008年8月20日配信)を、先日興味深く聞いて
いたんですね。
Otakon(公式サイト)は、2008年8月8〜10日に
かけて、メリーランド州ボルチモアで開催されたアニ
メコンベンションで、その規模は全米最大のAnimeExpo
に続くものです。もちろんGeekNightsのお2人も、
複数のパネルを主催していました。


1時間以上に及ぶ、RymさんとScottさんのお話は
充実していて、とてもここで全てを紹介出来ませんが、
個人的に注目したトピックのひとつが、Otakonの
ディーラーズ・ルームの盛況について、になります。
ディーラーズ・ルームというのは、コンベンションの会
場内で、アニメDVDやマンガ、キャラクター商品など
扱うディーラー達が集まったスペースのことですね。
広さについては、「あなたが今想像した『とんでもなく
広い』よりも、さらに大きい」と表現されていて、具体
的には、「Best Buy(家電量販店チェーン)の店舗を
3つ合わせたくらい」と述べられていました。


お2人によれば、北米のアニメDVD市場は冷え込み
つつあるけれど、その周辺、つまりキャラクター商品
などは、とても好調に売れているのではないかと、ディ
ーラーズ・ルームの盛況を見て感じたんだそうですね。
そうでなければ、こんなにも広い場所で、アニメ・マン
ガ関連商品だけを売る空間が成立する筈がないと。
キャラクター商品はアニメと違って、ダウンロード出来
ないから、とも言えますが、ともあれ商品のためにお金
を出すファンはいる、ということです。


で、それを聞いて僕が思い出したのが、フロリダ発の
ポッドキャストのAnime World Orderが、アメリカで
のアニメ・マンガ関連商品の海賊版について語った、
2007年4月23日配信エピソードになります。
そのエピソードの中で、AWOのメンバーは、アメリカ
のアニメコンベンションが、いかに海賊版商品で溢れ
ているかということを、自身の経験・目撃から語ってい
ました。


――そうすると、Otakonのディーラーズ・ルームでど
れだけアニメ・マンガのキャラクター商品が売れてい
たとしても、それらが違法な海賊版であったなら、全
然意味がないというか、日本の権利者側には1セント
も返ってこないんじゃないか、という想像につながった
んですね。本来なら、そういったキャラクター商品から
得られるライセンス料も、アニメビジネスの中では、と
ても大きな割合を占めている筈ですよね。


というわけで、現状を知るには、現地にいた方に話を
聞くのが一番だということで、同じくOtakonに参加して
いた、Yuriconの代表Erica Friedman エリカ・フリー
ドマンさんとの、いつものメールのやりとりの中で、この
件について質問してみました。


short_g.gif


もちろん、アメリカで開催されている全てのコンベン
ションについて語れるわけではないけれど、と前置き
されてからですが、エリカさん自身が参加したコンベ
ンションだと、少なくともアニメDVDやCDについては、
スタッフ達は露骨な海賊版商品を排除するのに、あら
ゆる努力を惜しんでいなかった、とのことです。
これはAWOのメンバーが語っていたことですが、フロ
リダのあるコンベンションでは、海賊版ばかりを売って
いたディーラーが、文字通り会場から退去させられた
という事例もあったそうですね。
企業が協力したり、スポンサーについているコンベン
ションだと、その会社の商品の海賊版を売っているデ
ィーラーを参加させたりしたら、コンベンション自体の
信用問題になってしまいますものね。


中には悪質なディーラーもいて、スタッフ達からのチェ
ックを逃れるために、表向きは正規版商品だけを並べ
ておいて、ファンが買いに来ると、「実はもっと安いもの
もあるんだが」と、隠しておいた海賊版をファンに売り
つけたりもしていたようです。
安い方がもちろんいいし、海賊版かどうかは気にしな
い(あるいは区別が出来ない。当然売る側は海賊版だ
とは言わず、「輸入版」とか言って誤魔化すでしょうか
ら)、若いファンが、それを買ってしまうことも過去には
あったとか。


海賊版への対応については、コンベンションごとに差
もあって、真面目かつ全力で対処するところもあれば、
そうでないところもある。後者の代表格が、全米最大
規模のコンベンションであるAnimeExpoで、明らかな
偽物がずっと売られているという話を、何度もエリカさ
んは耳にしているそうです。
AnimeExpoといえば、ファンよりも企業主体のイベント
と聞いていますから、それが事実なら、結構驚きです。
規模が大き過ぎて、そこまで手が回らないんでしょうか。


一方そういった、オリジナルからの複製品ではなく、
アメリカで商品化が未ライセンスの作品をもとに、勝
手に作った商品――、Tシャツ、携帯ストラップ、キー
チェーン、バッジ、ウォールスクロールなどは、かなり
広く出回っているようです。
エリカさんの目にも、Otakonのディーラーズ・ルーム
で主に売れていたのは、そういったグッズばかりに見
えたそうです(あと、日本語が理解出来なくても、絵だ
けで楽しめる、成人向け同人誌も)。
未ライセンスの商品ですから、自分の好きな作品だか
らと、ファンがどんなにお金を注ぎ込んでも、作品を作
った側に、そのお金が還元されることはありません。
本来なら権利者に支払うべきライセンス料分までも
利益として懐に入れる、どこかの海賊版製造業者が
儲かるだけのことです。
ただ、DVD以上に、そういったキャラクター商品の場
合は、正規品かそうでないのかその場で見分けるの
は難しいでしょうね。


判断方法のひとつは価格でしょうか。例えば、一番
北米で売れているだろうアニメ関連キャラクター商品
である、「NARUTO」のハチガネ(ヘッドバンド)ですが、
正規品だと定価19.99ドル、実売価格16.99ドルなの
に、海賊版だと、ネット上では10ドルぐらいで出回って
います。コンベンションの会場では、もっと安いでしょう。
当然、海賊版の方が(写真で見る限りですが)、粗い作
りになっていますね。
自分が欲しい商品の正規の価格をおぼえておいて、
極端にそれから安いものは疑うべき――、と、そこま
で若いファンに求めるのは無理でしょうし、価格対象
のない未ライセンス作品の商品だと、それも出来ませ
んよね。


こういったことも、いつかもし、アメリカのアニメコンベ
ンションを訪れるようなことがあれば、調査したいとこ
ろですが、海賊版ディーラーは、相手が日本人なら、
当然警戒するでしょうね。
せっかく、お金を払おうという人達がいるのだから、
きちんと作品を作った人のところまで、そのお金が
届いて欲しいとは願ってしまうのですが……。


posted by mikikazu at 08:25 | TrackBack(1) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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