2009年10月05日

ファンサブでしか視聴出来ない作品をレビューする、北米のニュースサイトAnime News Networkへの、Scott VonSchillingさん(The Anime Almanac)のボイコット運動


今月に入って、北米のアニメ・ファンダムで
話題を呼んでいるのが、Scott VonSchilling
さん(ブログThe Anime Almanac)がご自身の
ブログ及びTwitterで宣言した、ニュースサイト
Anime News Network(以下ANN)へのボイ
コット運動です。
投稿日である10月2日からの30日間、つまり
10月いっぱい、ScottさんのTwitterから、
情報のソースとしては、ANNにリンクしないし、
記事も紹介しない、という宣言ですね。


Scottさんがこういう活動を始めた理由は、
ANNが10月1日より掲載開始した、2009
年秋シーズン新作アニメのレビュー特集
である、"The Fall 2009 Anime Preview
Guide"
です。
これは、今後2週間に渡って、日本で放送
される新作テレビアニメ第1話(第2話まで
含む場合もあり)のレビューを、可能な限り
早く掲載していこう、という企画ですね。
あくまで第1話及び第2話だけでの感想で
すから、シリーズ全体を判断するものでは
ないという意味で、"preview guide"と
題されています。


これら、レビューされている作品の中には、
北米地域ではまだライセンスされておらず、
合法的な手段では視聴出来ないものも含
まれていることを、Scottさんは問題視して
いるんですね。
現時点(10月5日午前)までに、レビューが
されている作品の、北米での状況を調べて
みると、


「犬夜叉-完結編-」
・ShonenSunday.com及び、動画配信サイト
Huluで、日本での放送(日本テレビ)数時間
後に、英語字幕版がネット配信


「ミラクル☆トレイン〜大江戸線へようこそ〜」
「乃木坂春香の秘密 ぴゅあれっつぁ♪」
「戦う司書」
「テガミバチ」
「アスラクライン」
「しゅごキャラ!パーティー!」
・動画配信サイトCrunchyrollで配信中


といった作品は、合法的にネット配信されて
いますが、


「生徒会の一存」
「聖剣の刀鍛冶」
「とある科学の超電磁砲」
「けんぷファー」
「クイーンズブレイド 玉座を継ぐ者」
「にゃんこい!」
「ホワイトアルバム シーズン2」


については、北米地域で合法的に視聴出来る
ルートを確認出来ませんでした。
つまり、北米地域に住む一般の人が視聴する
には、違法動画配信サイトなり、P2P経由で違
法ダウンロードするなりといった、違法手段を
頼るしかありません。
確認してみると、これらの未ライセンス作品全
てにおいて、既に英語ファンサブが制作・流通
されていることがわかりました。


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ANN自身がどういう手段で、これらの作品を
入手しているかはともかく、Scottさんの問題
提起は大きく分けて二つで、

・ANNという、大きな影響力を持つニュース
サイトが、ファンサブでしか現在見られない、
ファンサブでなら手に入る作品のレビューを
掲載することは、ファンの違法視聴を奨励し、
容認することにつながる。

・ANNは企業広告を掲載し、そこから収入を
得ている、プロフェッショナルなサイトである。
そういったサイトが、アクセス数を増やすため
に、違法配信を利用した記事を掲載すべきで
はない。


というものになります。
実は、ANNが違法配信されてる作品のレビュ
ーを掲載したのは、これが初めてではなく、
2008年の春シーズンにも、"The Spring 2008
Anime Preview Guide"
という、同様の企画を
行っています。
その時にも、Scottさんは批判のためのコラム
を執筆したのですが、

The Anime Almanac
 2008年4月16日付け記事
"What’s Happening to the Anime News
Network?"


結局ANNの姿勢は変わることがなく、

2008年秋シーズン
2009年春シーズン

と、北米地域では合法視聴出来ない作品を含む
新作レビュー企画を、ずっと続けています。


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このScottさんの行動に対して、アダルトマンガ
専門の出版社Icarus PublishingのSimon
Jonesさんは、そのブログ2009年10月2日付
け記事
の中でまず、今年4月に起きた、映画
「ウルヴァリン/X-MEN ZERO」本編流出事件
のことを思い出した、と語ります。
ネット上に違法に流出した、映画「ウルヴァリ
ン」の映像を見て記事を書いたコラムニストが
解雇されてしまった、という事件があったんで
すね。


参考 ―― マッシュ・アップ:フィルム
 2009年5月6日付け記事
「先週末に全米公開された『ウルヴァリン 
X-MEN ZERO』のネット流出映像を見てレビ
ューしたコラムニストが解雇!」



実写映画の場合だと、違法に入手した素材を
基にしたレビューを書いた人は解雇されるの
に、ANNの場合は何故問題とされないのか、
ということは、この事件が起きた時に、アニメ
ファンダムでも発言があったと記憶しています。
これを踏まえてSimonさんは、「一番重要なの
は、ANNをスポンサーしている、それぞれのア
ニメ・マンガ企業が問題とするかどうかだろう」
とコメントしています。


もうひとつ付け加えておくと、現在ANNは、
BANDAI ENTERTAINMETの「かんなぎ」の、
北米地域での独占配信サイトになっています。
その「かんなぎ」も、日本での本放送時、つま
りファンサブでしか視聴出来ない時期に、
2008年秋シーズン企画内で、レビューが掲載
されていました。
その事実を、BANDAIがどう考えるか、という
ようなこともあると思います。


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Scott VonSchillingさんもかつては、
「定期的にDVDを購入するのなら、ファンサブ
を見ても構わない」という考えでしたが、ファン
サブが日米の業界に与えている害を、積極的
に北米のアニメファンダムに伝えている、声優
のGreg Ayresさんにインタビューし、そのパネ
ルを聞くことによって、ファンサブの問題点を
理解することが出来、今では全くファンサブを
見ずに、アニメファンとしての生活を満喫して
おり、またジャーナリストとしての活動も、本格
的に進めつつあります。
今回の行動は、少なくとも問題提起としては
意味があるでしょうし、それなりにファンダム
に伝わっているのだろうと想像します。
結果については、何が起きるにせよ起きない
にせよ、いずれ見えてくると思うので、またレ
ポートしたいと思います。




posted by mikikazu at 10:09 | TrackBack(0) | ファンサブ/スキャンレーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月04日

アメリカで初代「ゴジラ」(1954年)ブルーレイの売り上げが好調(初登場第19位)


アニメ・マンガ関連のというわけではありま
せんけど、日本発のポップカルチャーの代
表作・アイコンであるのは間違いないので。


9月22日に、Classic Media社(公式サイト
ゴジラ特集サイト)からリリースされた、 1954
年製作の第1作「ゴジラ」(監督・本多猪四郎)
の、ブルーレイの売り上げが好調のようです。
Home Media Magazineが掲載している、
アメリカでのブルーレイ売り上げ週間ランキ
ングの、9月第4週(〜27日)分をみると、
第19位に同週発売の「Gojira」のタイトルが
あるのがわかります。
日本の発売が9月18日でしたから、ほぼ日米
同時発売だったんですね。


やはりというかアメリカでも、初代のゴジラに思
い入れがある人が、今でも相当にいるのかと
――? 「ウルトラマン」のDVDも売れていまし
たしね。チャイヨー版だったので、あまり意味は
ありませんけど。
でも、日本版ブルーレイの価格は、参考価格
5985円、売価4218円(日本アマゾン)、アメリカ
(Amazon)だと定価29.95ドル(約2690円)、
売価17.99ドル(約1615円)です。
アメリカ版なら半額以下ですので、リージョン・
コードがない日米のブルーレイなら、アメリカ版
で買った日本のファンも相当にいるのでは、
とも想像したりで?


ついでに言うと、Classic Media版DVD「ゴジラ」
は、オリジナル版だけでなく、レイモンド・バー
出演シーンを加えて再編集した、英語版「怪獣
王ゴジラ」(56年)も合わせて収録された二枚組
バージョンで、Amazonでは定価21.98ドル(約
1973円、売価11.99ドル(約1076円)の、かなり
お買い得なパッケージになっています。
日本だと、オリジナル版だけのDVDが、売価
3825円(アマゾン)ですね。


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以下はトリビア的なことです。
このClassic Media版初代「ゴジラ」なんですが、
DVDとブルーレイ合わせて、英語での綴りは
「Gojira」になっているんですね。
ご存知のように、そして他ならぬ公式ページ
のURLがそうであるように、これまでの海外
でのゴジラの綴りは、ずっと「Godzilla」でした。
「名前の中に"god"が入っている怪獣が弱い
わけがない」なんて、よく言われていたと思い
ます。
それが今回「Gojira」にされているのは、より
日本語の発音に正確な表記にしたい、という
ことなんでしょうか。少なくとも、東宝の許可は
得ているだろうと想像します。


それはともかく、この変更で困る人達がいる
かもしれません。
知っている人も多いでしょうけど、フランス
のデス・メタルバンドに、同じ「Gojira」という
グループがいるんですね(公式サイト)。
Wikipediaによると、この人達はそもそも、
オリジナルそのままの「Godzilla」というバ
ンド名で活動していたんですが、やはり権利
問題が発生して、ローマ字綴りの「Gojira」に
バンド名を変更したそうなんです。
でも、今度は本家の映画の方も「Gojira」にさ
れてしまったら、また権利問題で揉めてしまっ
たりとか、ちょっと心配になったり?


posted by mikikazu at 12:28 | TrackBack(1) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月03日

フランスでの日本マンガ売り上げランキング(2009年8月期)


今日はフランスの話題です。
僕自身は、少し前の英字日刊紙The Japan
Timesの紙面で読んだんですけれど、マンガ
「神の雫」の海外での反響を伝える英文記事
の最新版が出ています。

Expatica France 2009年9月28日付け記事
"The manga that poured French wine
into Asia"


記事の中で、フランスでの出版元であるEditions
Glenat
提供の情報として、連載開始から今
までに21巻を重ねた単行本の売り上げは、
日本で既に600万冊、台湾・香港・韓国で300
万冊、そして9巻まで出版されているフランス
で35万冊の売り上げを記録、というデータが示
されています。
この「35万冊」という数字は、8巻までの時点
の成績として語られた、日経トレンディネット
8月11日付け記事
でのものと同じですが、と
りあえずそれだけ売れているのは、事実として
いいと思います。
最新刊である第10巻のフランス語版も、発売
日がもう目の前の、10月7日になっています。


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8巻で35万冊として、1巻辺り約4万3750
冊ですから、当然TOP15内にランクインし
ていい筈の、フランスでのマンガ売り上げ
ランキングに姿を見せないことを、ずっと
不思議に思ってたんですが、やっと最新の、
8月分ランキングに、「神の雫」は登場する
ようになりました。
お馴染みBDZOOM.comが、2009年8月
期のマンガ売り上げランキングを掲載してく
れています。

9月23日付け記事
"ZOOM SUR LES MEILLEURES VENTES
DE MANGAS - SEPTEMBRE 2009"


以下、月間トップ15のランキングです。
数字は累計の推定発行部数で、このランキ
ングは月間での売り上げ結果ですから、出
版時期によって、順位と食い違う場合もあり
ます。



1.「NARUTO」第43巻(25万冊)
2.「ONE PIECE」第51巻(9万冊)
3.「ハンター×ハンター」第26巻(5万冊)
4.「NARUTO」第42巻(25万冊)
5.「FAIRY TAIL」第8巻(7万冊)
6.「魔法先生ネギま!」第20巻(3万5000冊)
7.「ヴァンパイア騎士」第9巻(3万冊)
8.「聖闘士星矢 LOST CANVAS 冥王神話」
  第7巻(4万冊)
9.「JACKALS 〜ジャッカル〜」第6巻(3万冊)
10.「Doubt」第1巻(外海良基)(3万冊)
11.「スイッチガール」第3巻(1万8000冊)
12.「ONE PIECE」第50巻(8万冊)
13.「NARUTO」第41巻(25万冊)
14.「鋼の錬金術師」第21巻(7万5000冊)
15.「神の雫」第9巻(3万冊)




というわけで、いつものように「NARUTO」最新
刊の第43巻が快調ですね。他の巻も合わせて
人気が続いていて、その突出した出版部数を考
えると、フランス市場に占める「NARUTO」の割
合がとんでもないとやはりわかります。
他は、フランスで売れているいつもの面々ですか。
市場全体での動向についても、記事では少し触
れていて、今年9月30日までの、フランスにおけ
るマンガの出版点数は1121ということで、昨年
同時点での、1086を上回っているそうです。
フランスでのマンガ・日本ポップカルチャー人気
は、衰えを知らないようですね。


参考
アニメ!アニメ! 2009年9月27日付け記事
「ジャパンエキスポ来場者16万5501人 
 プレス1200人」



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続いて、Edistat調べによる、フランス国内の
全書籍売り上げ週間ランキングの、最新版
(9月21〜27日)から、日本マンガの順位を
抜き出してみます。


15.「Bleach」第34巻
21.「DEATH NOTE」第13巻
33.「ONE PIECE」第51巻
36.「NARUTO」第43巻
56.「FAIRY TAIL」第8巻
67.「ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE」第23巻
130.「ソウルイーター」第5巻
135.「星は歌う」第3巻
173.「NARUTO」第42巻



という結果で、今週はわりに大人しめの結果
になっています。

posted by mikikazu at 12:09 | TrackBack(0) | 海外情報(フランス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月02日

イギリス・ロンドンのマンガ専門店「Orbital Manga」が閉店に


今日は久々に、イギリスからのお話ですね。
イギリスのアニメ・マンガ情報サイトのOtaku
News
が9月29日付けで小さく伝えていたの
で目に入ったのが、ロンドンにあるマンガ専
門店のOrbital Mangaが閉店する、という
ニュースでした。

"Orbital Manga closes"

どうしてこのお店のことを覚えていたかとい
うと、昨年10月18日にマンガ版「涼宮ハルヒ
の憂鬱」第1巻が発売された時に、英米で同
時にイベントが行われて、アメリカ側のそれ
はニューヨークの紀伊國屋書店が、イギリス
では、ロンドンの、このOrbital Mangaが会
場だったんですね。

参考
当ブログ2008年12月7日付け記事

で、動画などで、お店の中の様子なんかも、
少しは見ていたんです。
そういうイベントの場所として選ばれるくらい
だから、ロンドンのマンガ・アニメファンが集
えるような、それなりに有名で盛況なお店な
のかなって思ってました。
Orbital Mangaは、同じロンドンのコミック
専門店であるOrbital Comicsの、マンガ専
門支店として、2007年の2月に開店したそう
です。


参考
Otaku News 2007年2月20日付け記事
"New manga shop opens in London"


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そういった専門店が閉店するということです
から、イギリス、あるいは少なくともロンドン
市内でのマンガ・アニメ人気が落ちてきて
いるのかも、と想像もしてしまったんですね。
もちろん、想像だけしても仕方ありませんから、
ここは事情に通じている、現地の方に訊くの
が一番だと思い、旧知の、イギリスのアニメ・
マンガ情報サイトUKA-The UK Anime Network
の代表であるRoss Liversidgeさんに、質問
してみたんです。


まず、情報サイトの代表として理解している
限りでも、現在のイギリスでマンガ・アニメの
人気が大きく落ち込み始めた、という雰囲気
はないとのことです。
今回のことは、単純に、利益を上げるための
ビジネス的判断だろうと。


「Orbitalの件については、いくつかの要因が
重なっていると思います。
ロンドンの不動産価格は、今でもとても高い
ですし、経済不況は多くの企業に、経費削減
を余儀なくさせています。
Orbitalのコミック・ショップの西新店は、旧店
よりもずっと広くなりましたから、マンガ専門
店と合併するのは、理にかなっています。
それに2つのお店は、歩いて二分ほどの距
離しか離れていませんし、そういう意味でも、
お店をひとつにまとめた方が合理的なので
しょうね」



ということで、とりあえずは「これでイギリスで
のアニメ・マンガ人気が――」みたいに、大き
な意味で不安がる必要はなさそうです。
時期も短かったので、試しにマンガ専門の支
店を作ってみたら、思いのほかコストが高くつ
いてしまった、みたいなことでしょうか。
ありがとうございます、Rossさん。
今はサイトがハッカーに狙われていて、その防
御に大変とのことですから、なんとか頑張って
ください。



とはいえ、やはりOrbital Mangaに通っていた、
ロンドンのマンガファンの方たちには、とても
ショックだったようで、その声は例えば、イギリ
スのマンガ制作グループSweatdrop Studios
のフォーラム、

"Good bye Orbital Manga shop...?"

などで知ることが出来ます。
ここ数ヶ月、Orbital Mangaでは商品を新規
入荷せず、棚がどんどん空くようになっていた
ので不思議がっていたら、今回の閉店で「そん
な――!?」という流れみたいですね。
元のコミックショップに、またマンガの棚が作
られるにしても、その量は小さくなるかもです
し、何より「マンガファンだけが集うお店」が
無くなってしまうのが、とても寂しいようで、
移転・合併を惜しむ声がたくさん寄せられて
います。
もちろん、ネットのオンラインストアで買うこと
は出来ますけど、どこの本屋・コンビニでも
マンガを置いてある日本ではないロンドンで、
こういう足を運べて、棚いっぱいのマンガに
囲まれることの出来る、現実の場所があると
いうのは、愛好者の方々にとっては、とても
意味が大きかったでしょうね。


posted by mikikazu at 07:55 | TrackBack(0) | 海外情報(イギリス) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月01日

30年近い歴史を誇るアニメクラブ「フィラデルフィア・アニメーション・ソサエティ」メンバー・インタビュー


同じ、アメリカのアニメクラブ絡みで、先に
小ネタを。
アメリカ・ミネソタ州立大学が発行している
大学新聞Minnesota State University
Reporter
の電子版が、9月29日付けで掲載
していた記事、

"Japanese animation fan group turns
campus into your parent's basement"


は、同大学のアニメクラブThe Society for
the Appreciation of Japanese Animation
and Culture ―― SAJAC(公式ブログ)の
活動を伝えるものでした。


記事自体はよくあるものですけど、その中で
気づいたのが、

「全員の用意が出来たら、クラブは現在視聴
している作品から、まず2エピソードを見て、
小休止とディスカッションをはさんだ後に、
また次の2エピソードを見ることになっている。
上映許可を得るのが難しいとされる劇場作品
については、見るのはまれだ」

という記述ですね。
ということは逆に、テレビシリーズ、あるいは
OVA作品については、アメリカで権利を保有
している会社さんから、ちゃんと上映許可を
もらって、上映してるんだなって。
日本でも同じですけど、アメリカでも公共の場
所で、正規の作品を上映するには、その作品
の権利を保有している会社から、上映の許可
を得る必要があります。
ところが、アメリカの大学のアニメクラブなど
では、メンバーが百人超えの大きな規模のと
ころでも、正規にリリースされていないファン
サブを、クラブ活動の中で、平気で上映してい
るところが、けっこう多いんです。


もし例えば日本の大学の映画研究会で、大
学の敷地内の設備でクラブの活動の一環とし
て、日本でまだ公開・放送されていないアメリ
カの作品に、勝手に日本語字幕を付けたもの
の上映会を行ったりしたら、きっと大問題にな
りますよね。
ところがアメリカだと、アニメ作品に関しては、
そういうことが普通に行われている。
おそらく、大学・高校のクラブが行うような、
非営利の小規模上映会ならば、アメリカのア
ニメ会社だって、普通に許可してくれる筈だと
聞いています。少し前ですが、Anime News
Network
の質問コーナーである"Hey, Answerman!"
で、アニメクラブでの上映についての質問を
読んだ記憶があります。先代Answermanの、
Zacさんの頃でしたけど。


映画作品についての上映許可を得るのが難
しい理由については、それぞれの会社で違う
かもしれないので、よくわかりませんが、
きちんとそういった上映ルールを守っているク
ラブは、応援したいと思います。
現在SAJACが上映している作品は、「Black
Cat」「灼眼のシャナ」 (共にFUNimation)
になりますね。


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というわけで、やっと本題。
フロリダ発のポッドキャストAnime World
Order
が9月30日付けで配信していたのが、

"Bonus - Interview With the 'Old Timers
of Anime,' Otakon 2009"


というエピソード。
これは、アメリカ・フィラデルフィア州で、
1982年9月に設立、といいますから、実に
30年近い活動歴史を誇る、たぶんアメリカ
でも最古のひとつであるアニメクラブ
Philadelphia Animation Societyの古参
メンバーのお三方に、今年のOtakonでイン
タビューしたものですね。
去年のOtakonでも、同じ方々にインタビュー
はしていて、その好評を受けての第2弾とい
うことになります(参考・当ブログ2008年10月
1日付け記事
)。


80年代初頭の、アメリカでのアニメファンダ
ム黎明期のお話は、いつ聞いても興味深い
です。
民用のビデオデッキ(もちろんベータ)が、やっ
と出回り始めたというだけではなく、「鉄腕ア
トム」「鉄人28号」の、16ミリ上映用プリント
フィルムがあったとか、なかったとかいう頃の
話ですから。
クラブの一番最初の上映会で見た日本の作
品は、「キャプテン・フューチャー」「サイボーグ
009」「流星人間ゾーン」などだったそうです
から、時代がわかります。



インタビューの中で、そういったネットも独自
のコンベンションもなかった当時と、今のア
ニメファンダムを比較した、印象的なコメン
トがあったんですね。
いわく――、


「パネルで、僕達がクラブを始めた頃と、
今のファンダムでは、どこが違うのかって
いう質問をされたんだけど、一番違うのは、
『アクセス』だね。
今は、誰とも直接話す必要なんてないよね。
すぐにネットに接続するだけでいい。ただタ
イプするだけで、誰とも顔を合わせる必要
もない。欲しいものを手に入れるのに、友達
を作る必要さえないんだ。今のファンダムから
は、何かが失われてしまっているように思え
るよ。
まあこういうコンベンションでなら、お互いに
話も出来るけど」
「今のファンダムで奇妙なことは、インター
ネットのおかげで、あらゆる趣味のクラブが
潰れかかっているってことだね。もう、直接
クラブのミーティングに足を運んだりしなくて
も、ネットで何でも手に入るんだから」


というコメントです。
かつてのアニメファンダムで一番大切だった
のは、自分あるいは自分達が持っていない
ような作品・資料を保有している、他のファ
ン達とのコネクションであり、そういった関
係を築くためのコミュニケーション能力だっ
たわけですが、ネットがある今では、そういっ
た人間関係がなくても、一人でいくらでもア
ニメを楽しめるようになってしまった。
アニメに関わるものが入手困難だった時代に
苦楽を共にした友人達と、今でもクラブで友
人としての関係を保っている方達にとっては、
便利な一方で、自分達のような親密な人間
関係を築けない、今のファンダムには、寂し
さを感じたりもするようです。
30年近くも、Philadelphia Animation
Societyが続いてる理由を訊かれて、力強く
答えたのが、「Friendship!」でした。
ただもちろん、ネットでの色々なコミュニティ
やアニメコンベンションのようなイベントで、
関係を築ける手段が増えたのも確かですか
ら、人間関係の種類の違い、とはいえるかも
しれません。


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インタビューの中では、僕程度の人間ではつ
いていけない濃い話も多くて、そういう意味で
は驚きと楽しさもいっぱいです。
例えば、お気に入りのアニメソングを訊かれて、
次々に挙げられたのが――、


「スペースコブラ」OP/ED(1982〜1983)
「超時空世紀オーガス」OP/ED(1983〜1984)
「超時空騎団サザンクロス」OP/ED(1984)
「サイボーグ009」OP/ED(1968年)
「サイボーグ009」OP/ED(1979年)
「死ね死ね団のテーマ」
 (愛の戦士レインボーマン挿入歌 1972〜73年)
「超電磁ロボ コン・バトラーV」OP(1976〜77年)
「孤独の旅路」
(サイコアーマー ゴーバリアンOP 1983年)
「重戦機エルガイム」OP (1984〜85年)
「宇宙戦艦ヤマト」OP(1974年)
「戦国魔神ゴーショーグン」OP(1981年)
「FIGHTING ON」
(亜空大作戦スラングル2ndOP 1983〜84年)
「行け! 行け! メガロマン」
(炎の超人メガロマンOP 1979年)
「エリア88」OP(1985年)
「戦闘メカザブングル」OP(1982〜1983年)
「銀河漂流バイファム」OP(1983〜84年)
「ゴールドライタン」OP(1982〜1983年)


などでした。
皆さんが、アニメにはまった時期というのが
特定出来ると思います。
あ、ネットもファンサブもない時代に、どうして
こんなにたくさんの日本アニメを見られたかと
いう理由ですが、当時フィラデルフィアには、
ある日本人留学生がずっと滞在されていて、
大変なアニメファンである彼のために、日本
にいる家族の方が、アニメを録画したビデオ
テープを、定期的にずっとフィラデルフィアに
送り続けてくれていたそうなんですね。
有名人だったというその人と一緒に、たくさん
のアニメ作品を経験出来たというのが、当時
のフィラデルフィアのアニメファンにとっての
幸運だったそうです。今は何をされているん
でしょうね……。


posted by mikikazu at 12:23 | TrackBack(0) | 海外情報(北米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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