2008年9月に始まった、世界金融危機から
もうすぐ1年になるわけですけど、その震源
地とされるアメリカでの、アニメ・マンガ人気
に、どれだけ影響を与えているんでしょうか。
当ブログ今年1月5日付け記事
「2008年、アメリカのアニメ・マンガファンは
増えたのか減ったのか?」
では、アメリカで開催されたアニメコンベンシ
ョンの参加者数における、2007年から2008
年にかけての変化を調べてみたわけですが、
数字がわかっているコンベンションで、大きく
参加者が落ち込んだところは、ほとんどあり
ませんでしたよね。
むしろ増え続けているところばかりで、アニメ
コンベンション参加者を、アニメ・マンガのフ
ァンと見なしていいのなら、ビジネス的には
落ち込みが続いている反面、ファンの数は
増え続けているという、不思議な状況にある
ことがわかりました。
今年になってからはどうなんでしょう。
新たな大ヒット作も現れず、長引く不況の中
で、アメリカのアニメコンベンション参加者数
にも、さすがに影響が出ているでしょうか。
というわけで、例によってアニメコンベンショ
ン情報専門サイトAnimeCons.com掲載の
データから、今年1月から7月にかけてアメリ
カで開催されたアニメコンベンションの参加
者数を調査してみました。
わかりやすいように、参加者数が2008年よ
り増えているコンベンションは黒字、減って
いるコンベンションは、赤字での記載にして
おきます。一部データは、Wikipediaも参考
にしました。
・Anime South
(フロリダ州デスティン 1月2〜4日)
2007年12月・1210人
→ 2009年・974人に減少
・Arisia
(マサチューセッツ州ケンブリッジ 1月18〜21日)
2008年・2280人
→ 2009年・2410人に増加
・Ohayokon
(オハイオ州コロンバス 1月30日〜2月1日)
2008人・7000人(推定)
→2009年・7357人(有料入場者)に増加
・Ikkicon
(テキサス州オースティン 2月6〜8日)
2008年・3500人
→ 2009年・4000人(推定)に増加
・Katsucon
(ヴァージニア州アーリントン 2月13〜15日)
2008年・6300人
→ 2009年・6000人に減少
ソース・Wikipedia
・Anime Milwaukee
(ウィスコンシン州ミルウォーキー 2月27日
〜3月1日)
2008年・299人
→ 2009年・700人に増加
ソース・Wikipedia
・Daigacon
(ケンタッキー州ケイブシティ 3月13〜15日)
2007人・257人(推定)
→ 2009年・150人に減少
2009年ソース・Wikipedia
・Naka-Kon
(ミズーリ州カンサス・シティ 3月13〜15日)
2008年・2091人(有料入場者)
→ 2009年・2915人に増加
・MomoCon
(ジョージア州アトランタ 3月14〜15日)
2008年・4600人(推定有料入場者)
→2009年・7000人に増加
・Castle Point Anime Convention
(ニュージャージー州ホボケン 3月29日)
2008年・639人
→ 2009年・1016人に増加
・Middle Tennessee Anime Convention
(テネシー州ナッシュビル 4月3〜5日)
2008年・3750人
→ 2009年・4200人に増加
・Tekkoshocon
(ペンシルヴァニア州ピッツバーグ 4月3〜5日)
2008年・2618人
→ 2009年・3239人に増加
ソース・Wikipedia
・Kawaii Kon
(ハワイ州ホノルル 4月10〜12日)
2008年・3495人(有料入場者)
→ 2009年・4479人に増加
・Sakura-Con
(ワシントン州シアトル 4月10〜12日)
2008年・13600人(推定有料入場者)
→ 2009年・16586人に増加
・No Brand Con
(ウィスコンシン州オー・クレア 4月24〜26日)
2008年・1075人(有料入場者)
→2009年・1249人に増加
・Tora-Con
(ニューヨーク州ローチェスター 4月25日)
2007年・566人
→ 2009年・1401人に増加
・Anime Central
(イリノイ州ロズモント 5月8〜10日)
2008年・13900人
→ 2009年・17249人に増加
ソース・Wikipedia
・Animazement
(ノースカロライナ州ローリー 5月22〜24日)
2008年・5374人
→ 2009年・5970人(暫定)に増加
ソース・Wikipedia
・Anime Boston
(マサチューセッツ州ボストン 5月22〜24日)
2008年・14339人
→ 2009年・15438人に増加
・Project A-Kon
(テキサス州ダラス 5月29〜31日)
2008年・15324人
→ 2009年・16037人に増加
ソース・Wikipedia
・PortConMaine
(メイン州サウス・ポートランド 6月18〜21日)
2008年・1650人
→ 2009年・1804人に増加
・Anime Expo
(カリフォルニア州ロサンゼルス 7月2〜5日)
2008年・43000人(推定)
→ 2009年・44000人に増加
・Otakon
(メリーランド州ボルチモア 7月17〜19日)
2008年・26262人(有料入場者)
→ 2009年・26350人に増加
・PersaCon
(アラバマ州ディケーター 7月24〜26日)
2008年・1230人
→ 2009年・892人に減少
2008年ソース・Wikipedia
というわけで、あくまでデータが公表されてい
るところだけでの検証ですけど、減っているコ
ンベンションも四つだけありますが、全体的な
状況ではまだ、今年に入っても、増加傾向が
続いていると判断してよさそうです。
前年とほぼ同じOtakonなどは、参加者の上
限があったとのことですし、規模を広げる来年
はさらに増えそうです。
アメリカでのアニメ・マンガビジネスの不振に
ついて、その原因を、「社会全体の不況のせい。
他のビジネスも上手くいっていない」という意見
があって、確かにそれも事実でしょうけど、この
コンベンションの参加者のように、不況下でも
伸びを示し続けている分野もあるわけです。
参加登録料、交通費、宿泊費、コスプレをする
人はその制作費と、色々お金がかかるのにも
かかわらず(参加費無料の、大学のアニメクラ
ブ主催のコンベンションなどは、上記のリストに
はほとんど含まれていません)。
だから、娯楽ジャンルとしてのアニメ・マンガが
アメリカで飽きられてしまった、ブームが過ぎて
しまったというわけでは決してないと思います。
アニメやマンガそれ自体は、いくらでも無料で違
法ダウンロード・視聴出来るわけですが、コンベ
ンションへの参加という「体験」は、絶対にダウン
ロード出来ない、ということでしょう。
ただ、コンベンションにいくら参加してもらって
も、ディーラーズ・ルームで関連商品を買ったり
しない限り、作り手さん達に利益として返ってく
るものはないわけで、難しいですよね。